2009年11月28日土曜日

・・・3倍だと?

こんにちは。

3DCADの中の人デス。

最近、政治関連のエントリが続いて「ここはマジメなblogなんだ」という誤解を招きそうですので、
(え?)
ここらで正しい路線に戻したいと思います。


宣言。
このブログは単なるロケットの中の人の日常を報告する場所です。
マジメなことばっかり考えているわけではありません。
宇宙とロケットに関係あればなんでもOKです
(じゃあGX記事OKじゃん、というツッコミは無しで...)


で、今日のネタは...

・・・カレーです。
左がN2Oタンクの中の人。右が3DCADの中の人。

∞号館の食堂の「トリプルカツカレー(650円)」と、「ハーフカレー(180円+チーズ50円)」です。

おおきなおとをだしてひをふいてもえるエンジン屋さんには、大量の、どちらかというとガテン系な食事が必要です。(キムチ○×とか好きですよね)
んで、分離機構とか、オープニングショックとかを扱っている機体&セパ屋さんは胃を痛めているせいでゴッツイ食事は苦手です。

打ち上げに行くとよく分かります。
燃焼班の人、がっつり食べます。作業がハードなので食べないと動かなくなります。
(打上の日は大抵食べられません。スケジュール的に。)
機体班の人、食べません。基本的に固体にはネガティブです。ゼリーとかヨーグルトとか好んで食べます。
(打上の日は大抵食べられません。精神的に。)

このように、この写真にはロケット開発を行う人間の衛生面、精神面が反映されているのです。
深いですね。









...ハイ、ごめんなさい。
宇宙に関係ないですね。
でも、カレーと宇宙には深い関係があるのです。
宇宙に行くとムーンフェイス現象といって頭に血液が上がってきて鼻が効かなくなるため、匂いの強いカレーは宇宙食に向いているという話です。
実際、ISSでの宇宙食にも最近になって採用されました。
無重量で飛び散らないのも良いらしいですね。
(実際には、少し匂いがキツく、粘度の高い専用品が使われるそうです)


...やっぱり関係ないですね。
では最後にロケットの画像でお口直しを。
現在開発中のロケット、コードネーム「XL」です。
実はこのblogではネタにしていなかったかもしれませんが、

海打ちやります。

海に向かって打ち上げて、海上で回収します。
本当は来年末か再来年あたりに出来たらいいな、の予定だったのですが、
秋○先生の中の人のおかげで(せいで)予定が随分と前倒しになりました。
本当にありがとうございますm(_ _)m

ただコンポーネントの開発が大変です。
大車輪もいいところです。
本当ならリカバリーシステムやテレメータは事前に打ち上げ試験を(陸で)やりたいのですが、その暇もなさそうです。
ぶっつけ本番なので胃が痛みます。
でもガンバリマス。海打ちは僕らと先輩たちの夢ですから。
なんとしても実現したいです。


・・・冬の打上で10kg痩せた(そしてイマイチ戻らない)3次元CADの中の人でした。

2009年11月17日火曜日

この先数十年を戦う為の技術

単独エントリではお久しぶりです.N2Oタンクの中の人です.
ここ数日怒りが収まりません.はいそうです,事業仕分けの件です.

各方面から非難囂々の事業仕分け,5日目に宇宙開発系の話があったようです.
結論としては,HTV,衛星を10%削減,GXを廃止という方向だそうです.

・・・なるほど,一番切ってはいけない分野から攻めよう,というわけですか.
最近はもう民主党は「国売り」をしようという意図を隠そうともしないようです.

某CAMUIの中の先生も似たような事を仰っていましたが,現代において国力を削ぐ最も確実な方法は,その国から科学技術を奪う事です.もちろんタダで奪える訳もありませんから,目先に餌をばらまいて目くらましにするのが手っ取り早いでしょう.素人でも考えつきます.

宇宙を志す者としてHTVの持つ有人への可能性も,宇宙探査の意義も,物申したい事は
八ッ場ダムの容積ほどもありますが,エンジン屋さんらしくLNGエンジンについて語りたいと思います.

ものすごく長くなりますが,語らせてください.



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GXロケット自体は,まあ切られるだろうなあと予想はしていました.計画自体が政治的な意図によって組み立てられているので,無理に無理が重なってまともなプロジェクトと認める人はいませんが,それでも基幹技術であるLNG(LiquidNaturalGas:液化天然ガス)エンジンに関しては,評価する人の多いところです.

LNGエンジンのメリットとして,以下の点があげられます.
・炭化水素系燃料に共通の特徴として,大推力を容易に取り出せる.
・日本で実用化されている液体水素に比べ密度が高く,ロケットの小型化が可能である.
この2点からは,地上打ち上げ用ブースターとして向いている事が考えられます.

また,液体酸素とさほど大差ない沸点であるため,適切な断熱によって長期保存が可能という特徴があります.この利点を生かして再着火が可能なエンジンを開発することで,同一のロケットで様々な軌道へ衛星を投入できる第二段を開発する事が出来るようになります.事実,現在コンステレーション計画を進行中のNASAがこの特性に着目し,新しい月着陸船にLNG系のエンジン(実際はここからメタンだけを取り出して使用するつもりだったようです)を開発していましたが,予算の都合上カットされたようです.科学探査を目的としてエンジンだけを頼りに月面に精密着陸させるのですから,その制御には困難が予想されます.LNGエンジンはこのように細やかな制御にも向いていると考えられます.(従来までこのような用途には自己着火性を持つ推進剤が利用されていましたが,人体に非常に有毒であるという欠点を持っています.)

さらに,LNGの成分は産出地にもよりますが,大部分をメタンが占めます.メタンは非常にありふれた可燃ガスで,非常に単純な分子構造であることから燃焼特性が良く,燃焼の可視化実験等によく用いられます.現在ロケットエンジン用途として実用化されている燃料であるケロシン(灯油のようなものです)は,常温液体で取り扱いが簡単ですが,いざロケットエンジンに用いようとすると非常に燃焼特性が悪いという欠点を持っています.現在実用化されているケロシンエンジンでマトモな燃焼が出来ているエンジンは少なく,そのどれもが極めて高い燃焼室圧力でもって無理矢理燃やしているというのが現状です.LNGはこの点非常に燃焼特性が良いので,開発費をずっと低く抑えられる可能性を持っています.

このように,LNGはその燃焼をモノにするだけで,非常に多くの発展要素を持つ燃料であると言われています.恐らくは,仮に日本が本気で有人宇宙開発をやるつもりなら,絶対にはずせない要素技術でしょう.

日本は衛星打ち上げ技術を持っており,最近は人が入れる余圧区を飛ばす技術も獲得しましたが,それが即,人を飛ばせる技術には繋がるわけではありません.昔はそういう時代もあったらしいですが,長らく戦争から離れ軍人がおらず,人死にが出る事に対する責任の扱いに慣れていないこの国ですから,何よりもまず「絶対確実に帰ってくること」が要求されます.(大抵の民主主義国家では同じ結論に辿り着くでしょうが,日本ほどそこを重視する国も無いんじゃないか,と思います.これは私はむしろ良い傾向だと考えています.)

ロケットという非常に物騒な代物に人を乗せるにあたり,上記目的を達成するための最も確実な手段は,どの段階からも人を脱出させられるシステムを用意することです.この方針から行くと,固体ロケットの採用はまず最初にはずれる選択肢です.固体ロケットは大推力かつ取り扱いが容易で地上打ち上げに適していますが,一度燃焼を開始するともう止めることが出来ません.何か間違いがあったときにその根本原因を取り除くことが出来ない訳ですから,人に出来ることと言ったらもうとにかく逃げることしかありません.これではアボートシステムの構築は困難でしょう.つまり,有人打ち上げ機はすべからく制御の容易な全段液体であることが求められます.

しかし,現在日本が実用化している液体酸素/液体水素エンジンは,大推力を出すことが困難な為,地上打ち上げには不向きです.おまけに液体水素は比重が軽く,最も大量の燃料を消費する第一段が巨大になるため,構造効率が悪化します.ですから,「常識的な設計の」有人打ち上げロケットは,全段液体で,かつ第一段に推力の得やすい炭化水素系燃料を採用しています.ここで,LNGエンジンに繋がる訳です.

あえて脇道に逸れますが,ハイブリッド屋として「ここでハイブリッドブースターですよ」と繋げたい所ですが,私個人としてはハイブリッドの利点は「シンプル・安価であること」と考えているので,必ずしもそこに繋がるとは思っていません.ハイブリッドの真価はどちらかといえばもっとずっと小型のロケットで生きると考えています.

あと,更に脇道に逸れますが,スペースシャトルは常識的な設計の有人機ではありません.その詳細は書店にでも行って松浦晋也著,「スペースシャトルの落日」を求めてくると良いと思います.理由は1.ハネが付いてること.2.機体丸ごと再利用であること.3.人貨混載であること.4.脱出手段が無いこと.の4点に集約されます.システムの全否定ですが躊躇いません.

つい最近国交相が有人宇宙開発に興味を示していたので,GXは潰されてもLNGエンジンは生き残るだろうと予想していたのですが.どうやらかなり雲行きが怪しいようです.一応,「エンジンについては再検討」ということになっていますが,どうにもこのスピード判断を見ると,そこまで深く考えているとは思えません.大方H-IIAの上にくくりつければ飛べると思っているんでしょう.

現在,ロケット燃料としてLNGやメタンガスを実用化した例はありません.宇宙輸送分野で後塵を拝する日本が,唯一世界に先駆けて実用化にこぎ着けようとしている分野です.「誰もやったことがない分野を突き進んでいる」という事もまた,重要です.この燃料の燃焼を正しく理解し,ノウハウを蓄積する事が,今後日本が宇宙輸送で食っていけるかどうかの分かれ道になると考えています.ひいては世界に対する日本の開発力のアピールにも繋がります.

エンジン開発とは,継続です.そこに飛躍はありません.
直近の需要による短期計画ではなく,長期的な視野にたって必要と思われる技術蓄積を続けることが,エンジン開発を行う最も優れた方法です.

いちエンジン屋として,権限を持つ方々に,理解を願うばかりです.

2009年11月14日土曜日

最近のニュース


3DCADの中の人です。
ここ数日の気になるニュースを2つ

事業仕分け 科学予算バッサリ
新内閣の元で行われている無駄予算の切り捨てで、科学関連の予算も結構削減されたようです。
スパコン開発は先送り、海底研究予算も削減。
科学未来館の運営見直しと、理科授業支援費のカット。
最後の奴なんかは身近なところで影響を受けている知人が数人いそうです。
秋○先生の中の人あたりにも影響してるんじゃないでしょうか。大丈夫かな。
やっぱり景気が良くないと科学研究はできないんでしょうねー。
ただ、理科授業支援費のカットはちょっと気になります。
大変な時代だからこそ、子供たちには理論的な考え方を学んで欲しいような・・・。
古文/漢文よりは大切な事だと思うのですが・・・。
単に「予算額」という数字を基準に話を進める、というのも、ちょっと気になるところ。
クルマのスペックじゃないですけど、数字が良ければ良いってもんじゃないと思うんですが

○NASA LCROSS探査機 月面から水を発見
NASAのLCROSS(エルクロス)月探査機による探査によって、月に水が存在することが明らかになったそうです。
この探査機は、月軌道投入に使ったアトラスロケットの最上段を月面に突っ込ませ、その際に生じる塵などを観測した後に、自分自身も同じ地点に突っ込む(こちらの観測は地球から行う)という、思い切った思想の探査機です。
頭が良いのか悪いのか。いいんだろうな、きっと・・・。

で、この捨て身の探査によって、噴出した物質の中に水が含まれることが判明したそうです。
果たしてどの程度の量(分布)なのか?、実際的に利用できる状態なのか?
詳細な結果が気になります。

月面に水があるかは将来の月探査に非常に大きな影響を与えるファクターみたいですから。
でもやっぱり月より小惑星の方が有人探査は楽なんじゃないかとか思ったり。
"有人基地のための"有人基地を月面に築くくらいなら、ガリレオ衛星の無人探査でもやって下さいな、と思います。エウロパの海の中を見てみたいですね。
(小惑星よりは随分遠いですが・・・)

そんなこんなで気になったニュースでした。
この時間(夕方)にブログ更新するの、すごく久しぶりな気が・・・。
朝4時台なら珍しくないんですけどね-。

2009年11月10日火曜日

建学祭&航空宇宙産業展レポート

3DCADの中の人です。
お約束通り(?)ここしばらく何をやっていたのかの活動報告をしようと思います。
中の人ブログ史上もっとも写真の多い記事になりました。

では、どうぞ。



<建学祭準備 編>

↑1年生の誰だかが旋盤加工をしているところです。

GFRPのチューブから機体の部品を作ります


↑ちょうど準備でみんなが円形にいた日に、NASAのアレス1Xロケットの試験打ち上げがありました。
ということで、野良無線LANを拾い、○篠研からサルベージしたコンポでSRBの響きを大音量で味わうことに。

みんなでNASAを見守る、の図。ロケット打上直前の緊張感はみんな肌で知っているので、なんとなく空気が緊張しています。
が、しかし。結局この日は悪天候で打上は延期に...。せっかくみんなで見てたのに。



と、いうわけで2週間ほどの努力の結果、H-XLの実物大モックアップが完成しました。
大きいロケットですね。
ロケットが大きいんです、念のため。
本人の希望により、でかちゃれマークではなく黒線にしました。
彼は最後にもう一回登場します。

完成したロケットは建学祭で展示された後、東京ビッグサイトで開かれる
東京国際航空宇宙産業展2009
に出展します。
イベント名が長い。


↑そうそう、1年生たちがロケットのスタンドを作ってくれました。Good Jobです。
これでMISUMIのフレームはもう怖くないね?
新型ランチャー、楽しみにしています。


<建学祭当日 編>

↑建学祭当日。なぜかニコ生に出演。
説明中の学生代表の中の人。
コメント下さったみなさん、ありがとうございました。


建学祭で売られていた「神」こと5号館のおっちゃん製、ステンレス削りだしの文鎮。
ステンレスを削るのってすっごく大変なんです。表面がメチャメチャきれいで感激です。
建学祭の間は祭を楽しむのに夢中であんまり写真がないです。
あとは花火くらいかな。きれいでしたね。


<東京国際航空宇宙産業展2009 編>
(長い...。)


あんまり名前が長いんでASET2009と略します
聖地こと東京ビッグサイトで行われました。
なんかもう空気がコミ○っぽいんですよ。ポスターとか。

でかくて全部収まり切りません

左側。僕らが展示を出したのはこのさらに左にあるウイング内です。


で、展示ブースまでが長いんだ、これが。
ビッグサイト内の移動だけで10分近くかかります。


展示ブースはこんな感じ。
これはエンジンなんかを追加した2日目のショット。
写真は普段カメラを構える側のグラファイトの中の人。



展示内容はパネル、XLモックアップ、エンジン、燃料、分離機構、分離回路、動画、ほか、といったところ。
実際にフライトを行ったエンジンということで、好評でした。

初日に行われた飛行デモ中の消防ヘリのお腹。
犬や猫だとお腹を見せるのは信頼の証らしいですが、ヘリの場合はどうなんでしょう。

こちらは威嚇の図、...ではなく、「お辞儀」だそうです。
写真で見るとちょっと怖い。
ASETの主役は優れた技術を持った中小企業さん。
こちらはアルミ総削りだしで肉厚なんと0.5mm。
前後にアクリル板を入れて固定しないと自重で変形するとのこと。
もちろん手で触っただけで曲がります。

この大きさで0.5mm...。 すごい世界です。もちろんNC(数値制御)加工ですが、NCマシンをキチンと使いこなせないとこんな加工は出来ないはずです。

ひたすらすごい。 上端が反って見えるのは写真が下手くそだから。実際はまっすぐです。


 「削る」  なるほど。そのままですね。

↑夜のお台場。小さなトイカメラで撮ったんですが意外と綺麗に写りました。

2日目にみんなで食べたオムライス。手前は観測隊長が頼んだLサイズ。
写真で見ると普通ですが、けっこう想像を絶するサイズです。
奥のが普通のオムライスのサイズ。

と、いうわけで最後の方はただの旅行記みたいになってますが、この2週間ほど何をやっていたのかの報告でした。
ASET2009での詳しいお話はまた今度。
3DCADの中の人でした。




では、最後に...。








<番外編>

↑建学祭最終日の打ち上げ(Launchではない方)での1枚。

ごめんね~。 ブログに上げるって約束しちゃったから。 学生代表の中の人と。
黒線でよかったんだよね?


2009年11月7日土曜日

どうも

3次元CADの中の人です。

学生代表の中の人経由で某秋田大学のせ○くんの中の人に「更新が少ない」と怒られてしまいました。

このブログ、実は結構見てる人多いんですね。
いい加減なこと書けないな・・・。


建学祭の最終日、11/4から東京ビッグサイトで開催されていた東京国際航空宇宙産業展2009にブースを出してきました。
建学祭で展示していたエンジンたちやモックアップを展示して、企業の方や官公庁の方、プレス関係の方など沢山の方とお話しできました。

いろいろと面白い話も出てきたのですが、建学祭直前からモックアップ作りで忙しかったので詳しい話はまた後で。(←どうせ書かない)

モック作りで1年生が旋盤回してる写真とか、産業展での消防ヘリの展示飛行とか、いろいろアップする予定です。

今日はこれで勘弁して下さい。

今日の夕方からせ○くんの中の人と飲みの予定です。

2009年11月5日木曜日

学際終了のお知らせ

どうも,久々の投稿のエポキシ接着剤の中の人です.

いやー段ボールの中の人は,学祭中は楽しんでいたみたいですね!
いいな~…

自分はというと,何故か毎日学校にいる羽目に(涙)
まぁーしょうがないですね.

毎日学校にいて,動き回っていたせいか,
今日の睡眠時間は「寝すぎ!」っていうくらい寝ました.
就寝0:00起床9:00
再び就寝10:00起床17:00
トータル16時間…
1日の3分の2は寝てしまった.

明日からまた学校が始まるのに,今日寝れんのかな?

いってきたよ

11月3日は建学祭へ行かず航空祭へ行ってきた段ボールの中の人です.(建学祭担当者の承諾済み)





目的は「自衛隊の広報を勉強する」という建前です.





今年は珍しく快晴だった入間.ブルーインパルスの演技がすごくかっこ良かったですねー.引退のバートルも見れたし.

最後に写真をうp

ブルーインパルスと言えばコレ↓  伝統の技ローリングコンバットピッチ(通称:ロリコン)