2010年2月2日火曜日

終了のお知らせ(+新しいスタート)

長文エントリに定評があります,N2Oタンクの中の人です.

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いつぞやのアレスI-Xの打ち上げの時にこんな事を言った覚えがあります.
「この形のロケットの打ち上げは二度と見れないから今のうちにじっくり見ておくべきだ」

http://www.sorae.jp/030601/3606.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010020202000210.html
http://smatsu.air-nifty.com/

こちらのニュースによると,その発言は的中したようです.
アレスI及びVも,開発中止だとか.徹底した戦略の元に作られたアポロまでのシリーズを作ったアメリカのロケットとは思えない設計でしたので,ここで打ち切れたのはむしろアメリカに取っても幸いだったのでは無いでしょうか.

しかしながら,このニュースで注目すべくは中止になったという点ではありません.

>コンステレーション計画をすべて中止した上で、今後五年間で約六十億ドルを増額。新たなロケット推進技術やロボット探査技術の研究開発に力を入れるほか、民間企業のロケット開発と打ち上げを支援する。

60億ドル,レート90円とすれば1年あたり1100億円程度の増額.「計画が一本丸ごと御破算になったのに,増額.」こういう凄まじい方針転換を平然とやってのけるのがアメリカの凄いところです.日本も見習わねばなりません.ウワサでは浮いた予算を使って科学探査と,「液体推進系の開発」に力を入れるようです.アメリカはアトラスVでRD-180エンジンを多数機購入していますから,液体エンジン開発力の必要性を身をもって感じているのでしょうか.

片や先日中止されたGXはどうでしょうか.当然ですが開発中止ですからお金が浮きますし,それはJAXAに戻すのが道理というものです.我が国の政治は道理が通ることの方が稀ですから,もちろん戻りません.減ります.

余談ですが,アメリカは今年をもってスペースシャトルという凄まじいお荷物を降ろすことが決定しています.予算は潤沢,人も浮く.今回の計画を見る限り,NASAはとても幸せそうです.一方ISSの運用が伸びましたから,日本の有人系技術も首の皮一枚繋がりました.きぼうの運用はJAXAにとってでかい荷物ですが,あるならあるだけ利用したいところです.HTVを改造する言い訳になりますし.

はてさて,我が国がおんぶにだっこなアメリカの宇宙計画ががらりと色を変えましたが,どう追従するのでしょうか.ここは一つ,追従しないで独自路線を本気で検討していただきたいところなのですが.

今回の一件で,アメリカの宇宙計画は「終了のお知らせ(+新しいスタート)」を迎える事が出来ました.
我が国はカッコの中身をつけることができるのか.動向が気になるところです.

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