2009年2月22日日曜日

中の人事情と,ブースターのお話.

当団体は加盟人数が多く,マンパワーに溢れていると一般的には思われているようですが,実際「実働メンバー」という言葉が内部でまかり通るほどに実際に活動している人数は少なかったりします.今度のプロジェクトも,プチ活動メンバー含めて精々15人くらいでしょうか.(いや,まあこれでも多い方なんでしょうが)
2年くらい前までは,人があまりに多すぎて意志決定スピードが遅いという難点を抱えていましたが,最近はそんな現状の副次的な効果のおかげでスムースに進んでいます.最近は会議が短いのもそのおかげでしょうか.

おかげで,ごく一部のメンバーが多量の作業を担ってだんだん精神崩壊していく様が楽しめます.自分も多分ブっ壊れてるサイドの人間です.

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明日は18号機用の燃焼実験です.

先のエントリであった通り,18号機用エンジンは17号機用のそれに換装されました.このエンジンはミッション上大加速を要求されており,質量も若干大きい17号機をメインにチューニングされています.(3DCADの中の人のおかげで)当団体最軽量となるこの機体に何も考えずに投入すると,9G超の大加速をする予測が出ています.これは計測機器・分離機構等を積みこんだハイブリッドロケットとしてはなかなか良い数字です.

ロケットエンジンの性能指標はおおざっぱに言えば推進剤の搭載量と,運動量によって表されます.比推力と言いますが,ノズルから吐き出されるガスが,軽くて,速度が大きい方が偉いんだと思ってください.限られた質量の推進剤を使ってできる限り大きな運動量を獲得する事が命題です.極端な言い方をすれば,別に推力はどの程度であってもさしたる問題では無いと言うことです.
しかしながら,地上近くで使うブースターエンジンの場合は地球の重力に対抗する必要がありますから,推力(力)を大きく,燃焼時間を短くしたほうが最終的な効率は良くなる場合が多くあります.地球の重力がロケットに及ぼす影響はほぼ一定ですから,なるべく早い時間で全ての力を出し切ってしまった方が,重力がロケットに与える運動量は小さくなるというわけです.スペースシャトルに代表される昨今のロケットが軒並み短時間燃焼の固体ロケットモータで推力を増強しているのもこんな理由があるからです.
この辺,ものすごく分かりやすい解説をCAMUIロケットの中の人がしています.気になる人は,「カムイスペースワークスブログ」でぐぐってみてください.

とは言え,極低空で運用する超小型ロケットの場合,空気抵抗の影響も無視できません.さらに一般的には推力と効率は相反するものですから,あまりシャカリキに大加速すると最終的に獲得できる速度は小さくなる場合もあります.
18号機の場合は,推力を減らしてもう少し効率を稼ぎに行ったほうが,具合が良さそうだという訳です.というわけで,9G加速も魅力的ですが,もう少しばかり推力を絞ることにしました.明日の実験は,その為のものです.

たまには専門的な話もしないとエンジン屋であることを忘れられる思いました.
54%くらいMだったN2Oタンクの中の人です

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